要領の悪さは才能の裏返し?生きづらさを改善するためのアプローチ

自身の性格 | 2024年11月18日

「どうして私はこんなに要領が悪いんだろう…」 「周りの人と比べて、いつも後れを取ってしまう…」 こんな思いを抱えて毎日を過ごしている人は、意外と多いものです。 要領の悪さは、単に仕事の効率だけでなく、生活全般に深刻な影響を与えることがあります。 職場での評価が下がったり、人間関係がうまくいかなかったり、自分に自信が持てなくなったりと、様々な面で問題が出てくる可能性があるのです。 「要領が悪い」と感じる背景には、実はいろいろな要因があります。 例えば: ・脳の働き方が人それぞれ違うこと ・生まれつきの性格 ・これまでの経験や育った環境の影響 などが複雑に絡み合っているのです。 こういった特徴は、日々の生活や仕事で様々な形で現れ、時には予想外の困難をもたらすことがあります。 この記事では、「要領が悪い」と感じる人にはどんな特徴があるのか、なぜそう感じるのか、そしてそこからどんな困難が生まれるのかについて詳しく見ていきます。 さらに、具体的にどうすれば改善できるのか、医師の意見も交えながら、より快適に過ごすためのヒントをお伝えします。

目次

  1. 「要領が悪い」と感じる人の特徴とその原因
  2. 生きづらさを感じている人の体験と専門家の意見
  3. 要領の悪さと生きづらさを改善する具体的な方法
  4. まとめ

「要領が悪い」と感じる人の特徴とその原因

「要領が悪い」と感じる人には、いくつかのよく見られる特徴があります。
代表的なものを紹介しましょう。

  • 時間管理が苦手
    締め切りに追われたり、約束の時間に遅れやすいなど、時間を上手く使うのが難しいと感じる
  • 優先順位をつけるのが難しい
    やるべきことが複数ある時、どれから始めればいいか決められない
  • 指示の理解に時間がかかる
    人から言われたことをすぐに理解できず、何度も確認が必要になる
  • 整理整頓が苦手
    物や情報をうまく整理できず、必要な時にすぐ見つけられないことがある
  • 臨機応変な対応が難しい
    予想外のことが起きた時、柔軟に対応できずにパニックになりやすい
これらに代表される特徴は、とりわけ効率性を重視する現代では特に、「生きづらさ」につながりがちです。
その原因は、時に発達障害と関係がある場合もあります。
例えば、注意欠陥・多動性障害(ADHD)の人は集中力が続かなかったり、衝動的になりやすいです。
自閉スペクトラム症(ASD)の人は、こだわりが強かったり、環境の変化に慣れるのが難しいことがあります。

補足ですが、発達障害に悩む人の割合は以前考えられていたよりも高く、文部科学省が行った調査では、普通学級に通う小学生と中学生のうち、約11人に1人(8.8%)に発達障害の可能性があることがわかりました。
つまり、35人学級なら3人ほどの割合になります。(*1)
また、国立大学法人弘前大学が実施した研究によると、5歳の子どもたちの中で、自閉スペクトラム症(ASD)と診断される可能性がある子どもは100人中約3人(3.22%)いることがわかりました。(*2)

ただし、発達障害だけが原因ではありません。
周りの環境や心の問題も大きく影響します。


周りの環境の影響:
  • 職場の雰囲気:
    競争が激しすぎたり、結果ばかりを重視する
  • 受けてきた教育:
    「要領よく」振る舞うことを求められる
  • 社会の考え方:
    効率や生産性を重視しすぎる
心の問題:
  • 自己評価の低さ:
    失敗経験から自分を信じられなくなる
  • 完璧主義:
    小さなミスも許せない性格
  • 過去のつらい経験:
    いじめや叱られた経験で萎縮している
これらの要因が複雑に絡み合って、「要領が悪い」という思いや生きづらさにつながっていくのです。
(*1)出典:通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について
(*2)出典:【プレスリリース】5歳における自閉スペクトラム症の有病率は推定3%以上であることを解明(医学研究科)

引きこもりに悩む人たちのエピソード

では、要領が悪く生きづらさを感じている人はどのような状況にあるのでしょうか。実際に医師の元に寄せられた相談事例を見てみましょう。

心がいたい。生きづらい。
自分の気分の浮き沈みや行動の変化に疲れるのですが、周りから考えすぎだと言われることに生きづらさを感じます。
やる気が出れば活動できるものの、落ち込むと何もできず、大学の単位を落とすこともありました。
算数が苦手だったり、人の話を一度で理解することができず何度も聞き返すことが多いです。
この状態が6年続き、生活に支障を感じています。
実習や就職を考えると、生きづらさの原因を知る必要がありますが、親には知られたくないため成人するまで耐えてきました。
大学の先生や支援課、カウンセリングも試しましたが、息苦しさから続けられませんでした。 (女性|20代) 相談の詳細はこちら
心がいたい。生きづらい。

この相談に対する医師の回答
いただいた症状などの内容から浮かび上がってくるものは、「不安」というキーワードです。
それがすべてにおいて、生きづらい、易疲労、考えすぎという感覚につながっておられるようです。
「大学の先生や支援課、カウンセリングは経験済み」とのことですが、心療内科や精神科での、専門的な視点での精査は必須と考えます。
認知行動療法という言い方でのかかわりは持っていただいた方が解決の糸口になるかもしれません。
受診すべき、適切な、専門診療科は、どちらかというと「心療内科」となります。
(※医療機関の規模や機能的な面では、それらを、主要な診療科目に標榜している病院でもいいですし、専門のクリニック・医院・診療所でも構いません。)
悪化して大変なことになってしまう前に、なるべく早めに受診していただいた方がよさそうです。 (回答医師:整形外科)

自分の努力不足が原因なのでしょうか
社会人生活で様々な困難に直面しています。
忘れ物や時間管理のミス、不適切な発言で頻繁に叱責を受け、生きづらさを感じています。
発達障害を疑い検査しましたが異常なしと診断され、自己改善を試みるも状況は変わりません。
これらの問題が病気によるものか、単なる甘えなのか判断できず悩んでいます。
どのように理解し対処すべきか、適切な助言をいただけますでしょうか。 (男性|20代) 相談の詳細はこちら
発達障害の可能性と自己改善の限界について相談したいです

この相談に対する医師の回答
精神科では、発達障害ではなく、ご相談されている方の性格や習慣的なものという診断なのですね。
今、職場で、ご自分よりも年上の人との人間関係や、時間順守が難しいなどは、仕事をするようになると多くの人が困難を感じる点だと思います。
また発達障害については、衝動性や暴力的突発的な行動や、協調性が少ないなどに対しては、内服治療薬はありますが、微妙な空気を読めない、時間順守が難しい、他人が考えていることが推察しにくい、などについては治療薬はありませんので、ご自分の性格に適した職場に変わるなども選択肢になるとは思います。
今の職場に合わせられないのは、ダメな人間などと思いこまないように、上司にも相談できて、徐々に会社の方も理解が深くなれば、最も良いと思います。
選択肢を狭めないように、周囲の人に理解していただけるように、ご自分から動くことも大事と思います。 (回答医師:内科)

上記の体験談と医師の意見を見ると、発達障害の可能性があっても、必ずしも診断が下されるわけではないことがわかります。
また、診断を受けたかどうかに関係なく、自分の特徴をよく知り、自分に合った環境を探すことが大切だと言えます。
医師のアドバイスを参考にしつつ、自分に合った対処の仕方を見つけていくことが重要です。

要領の悪さと生きづらさを改善する具体的な方法

それでは、具体的な改善方法について、もう少し詳しく見ていきましょう。

自己理解と受容

まず大切なのは、自分の特徴をよく知り、受け入れることです。
「要領が悪い」と感じている部分も、裏返して言えば「ものごとを丁寧に進める」性格とも考えられます。それがあなたらしさの一つであると受け入れることで、生きやすさにつなげることができます。
そのために、自分を責めずに、どんな時に困るのか、どんな環境だと力を発揮できるのかを冷静に見てみましょう。
例えば、1週間ほど日記をつけ、上手くいったことや困ったことを書き留めて、パターンを探してみるのもいいでしょう。

環境づくりと準備の大切さ

自分に合った環境を整えると、多くの困難が減らせます。

  • 目で見てわかる工夫:
    やることリストや予定表を見やすい場所に貼る、色分けしたファイルを使うなど。
  • 静かな場所の確保:
    集中が必要な時は、周りの音を遮るヘッドホンを使うなど。
  • ゆとりある計画:
    予定と予定の間に予備の時間を入れる。

仕事の管理と効率アップの方法

小さな目標からはじめ、自分のペースに合わせた時間管理を心がけましょう。

  • タスクの分割:
    大きな仕事を小さく分けて、一つずつ取り組む。
  • ポモドーロ法:
    25分集中して作業し、5分休憩する。これを繰り返す。
  • 見える化の工夫:
    やるべきことを付箋に書いて、目につく場所に貼る。
    終わったら、その付箋を「完了」の欄に移動させる。
    この小さな達成感が次への励みになります。

専門家への相談と支援の活用

一人で悩まず、専門家の力を借りるのも大切です。

  • 心理カウンセラーや臨床心理士:
    生きづらさの原因を探り、対処法を一緒に考えてくれます。
  • キャリアカウンセラー:
    あなたの強みを活かせる仕事や働き方を提案してくれます。
  • 発達障害の専門医:
    必要なら、正確な診断と適切な治療法を教えてくれます。

まとめ

最後に、「要領が悪い」と感じることは、決してマイナスなことばかりではありません。

  • 丁寧さや誠実さ
  • 深く考える力
  • 強い責任感や細部への注意力
  • 真面目で全力を尽くす姿勢
など、多くのポジティブな側面があります。
失敗から学ぶ力が強く、独自の視点を持ち、根気強さがあるのも特徴です。
これらの特質は、多くの場面で価値ある強みとなり得るのです。

自分のペースを大切にしながら、あなたらしい生き方を見つけていってください。
大切なのは、自分を責めずに、自分の特徴を理解し、それに合った対処法を見つけることです。
あなたの「生きづらさ」が、少しずつでも「生きやすさ」に変わっていくことを心から願っています。

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