
仕事で上司に怒られた、家族に叱られた…。そんな経験は誰にでもあるものです。でも、なかには怒られることが本当に怖くて、日常生活や仕事に支障をきたしてしまう人もいます。 この記事では、怒られることへの恐怖心の原因を探り、その気持ちと上手に付き合っていく方法を一緒に考えていきます。怒られ上手になったり、怒られ慣れすることを目指すのではなく、あなた自身の心の声に耳を傾け、自分らしく生きるヒントを見つけていきましょう。
目次
1.「怒られるのが怖い」と感じる原因
怒られることへの恐怖心は、様々な要因が複雑に絡み合って生まれます。ここでは、主な原因について見ていきましょう。
過去のトラウマ体験
幼少期や学生時代に厳しく叱られた経験や理不尽な怒りをぶつけられた記憶が、無意識のうちに影響を与えることがあります。これらの体験は大人になっても心に深く刻まれ、「怒られたくない」という感情につながることがあります。
自己肯定感の低さ
自分に自信がない人は他人からの評価に敏感になりがちです。「自分はダメな人間だ」という思い込みが強いと、怒られることで自己否定の気持ちがさらに強まってしまいます。
完璧主義的な性格
何事も完璧にこなそうとする人は、小さなミスも許せないと考えがちです。そのため、怒られることを極端に恐れ、過度にストレスを感じてしまうことがあります。
発達障害の特性
ADHDや自閉症スペクトラム障害などの発達障害がある場合、他人の感情を読み取ることが苦手だったり、急な予定変更に対応しづらかったりすることがあります。そのために、思わぬところで叱責を受け、怒られることへの恐怖心がさらに強くなる可能性があります。
不安障害の影響
社会不安障害や全般性不安障害などの不安障害がある場合、日常的な出来事に対しても過度の不安を感じやすくなります。怒られることも、強い不安を引き起こす要因の一つとなり得ます。
職場環境や人間関係
パワハラが横行する職場や、コミュニケーションが不足している環境では、怒られることへの恐怖心が増大しやすくなります。上司との信頼関係が築けていない場合、些細な注意も強い叱責として受け取ってしまうかもしれません。
こうした個人の経験や性格、そして周囲の環境が複雑に絡み合って「怒られるのが怖い」という感情を生み出しているのです。
次は、実際の体験談を通して、この問題についてさらに深く考えていきましょう。
2. 体験談:怒られることに怯える人たち
ここでは、実際にあった相談事例とそれに対する医師の回答を紹介します。
怒られる恐怖で仕事に行けない
会社のストレスチェックで高ストレス状態と判定されましたが、周囲の目を気にして受診を避けていました。しかし、最近2、3ヶ月で症状が悪化しています。
先輩社員の険しい表情を見ると、自分のことで怒っているのではないかと思ってしまいます。休日でさえ、「ミスをして怒られるのでは」と想像し、疲弊してしまいます。怒られることへの恐怖が強くなり、気が休まらない日々が続いています。
仕事では、社用車の鍵や書類の確認を何度も繰り返すようになりました。ミスを犯して怒られる不安から、やり過ぎと言われるほど確認してしまいます。
どんどん気分が落ち込み、恥をかくくらいなら仕事に行きたくないと思う日々です。この状況をどう改善すればいいのか悩んでいます。
(男性|20代)
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ストレスで気分が落ち込み、仕事に行くのが辛い
この相談に対する医師の回答
つらい状況ですね。お気持ちお察しします。
仕事が相当きついようですね。手に余りますか。あなたの症状はすべてそこから生じているようです。
仕事がうまくこなせない
→注意される、怒られる
→周りの評価が気になる、不安
→ミスの不安、気持ちが休まらない
→強迫症状
と展開しているようです。
このまま放置できません。上司や産業医には相談しましたか?
しばらく仕事を休みましょう。それで改善すれば、適応障害ということになります。配置換えや転職が必要になるでしょう。
(回答医師:精神科)
「何か怒られるのでは」不安で学業に支障が
高校生の頃からいじめの影響で人の目が怖くなり、授業中に先生に当てられると恐怖を感じて頭が真っ白になります。過呼吸になることもあり、上手く呼吸ができなくなってしまいます。
大学に入ってからは、課題ができていないと焦ってパニックになったり、イライラしたりします。聞き取りが苦手で、大事なことほど聞き取れなくなってしまい、課題の提出でミスが目立つようになりました。そのせいで先生に怒られることが増え、とても辛いです。
怒られることへの恐怖が強くなり、学校に行くのも辛くなってきました。でも、親には知られたくないので誰にも相談できず、一人で悩んでいます。このままでは卒業できるのかも不安で、どうすればいいのか分かりません。
(女性|10代)
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不安になりやすい性格で、大学生活で精神的に追い詰められている
この相談に対する医師の回答
過去のいじめなどの辛い記憶が、トラウマになっていて、新しい生活にも不安の気持ちが強くなってしまっているようですね。不安障害のような状態に近い精神状態かもしれませんが、例えば、五月病といった状態に近いのかもしれません。新生活の緊張が解けてきて、ちょうど疲れが出てくる時期に、新社会人や新入生が、同じように精神的に不安定になることがあります。
希望には、常にうまく夢が叶わないかもしれないという不安感が付きまといます。そうしたことも、背景にはあるのかもしれません。相談者さんのトラウマによる傷の深さは、図り知れませんが、希望があるからこその、現状での不安感かもしれませんし、私はそんな相談者さんだからこそ、学生時代にしか積めないような素敵な経験を、たくさん積ませてあげたいと心から思います。
ただ、1人で問題解決に当たるのは、無理がある状態に思えます。心療内科などで、カウンセリングや、精神療法などの治療を受けましょう。お近くの心療内科クリニックなどで、対応していただけると思いますので、心のケアをプロフェッショナルから受けましょう。よく診てもらってくださいね。
お大事にどうぞ。うまく気持ちのコントロールができて、充実した学びの多い、豊かな学生生活を送れるようになるといいですね。
(回答医師:内科)
これらの体験談から、怒られることへの恐怖心が日常生活や学業、仕事に大きな影響を与えていることがわかります。また、一人で抱え込まずに専門家に相談することの重要性も示唆されています。
次のセクションでは、これらの体験談も踏まえながら、怒られる恐怖心を和らげるための具体的な対処法について考えていきましょう。
3. 怒られる恐怖心を和らげるための具体的な対処法
怒られることへの恐怖心は、一朝一夕には解消できません。しかし、少しずつ自分と向き合い、適切な対処法を見つけていくことで、その気持ちを和らげることは可能です。ここでは、具体的な対処法をいくつか紹介します。
怒られたときに感情をコントロールする方法
深呼吸を意識する
怒られると呼吸が浅くなりがちですが、意識的に深呼吸をすることで冷静さを取り戻せます。「4-7-8呼吸法」がおすすめで、鼻から4秒吸い、7秒止め、口から8秒吐き出します。3〜4回繰り返すとリラックス効果が得られます。
「今、ここ」に意識を向ける
怒られているときは、過去の失敗や将来の不安に思考が飛んでしまいがちです。そんなときは、意識的に「今、ここ」に注目してみましょう。
例えば、「今、自分の足の裏は床に触れている」「今、自分は椅子に座っている」といった具合に、現在の自分の状態を客観的に観察します。これにより、過度な不安や恐怖から少し距離を置くことができます。
相手の言葉を「情報」として受け取る
怒られているときの言葉を感情的に受け取らず、「成長のための情報」と捉え直します。
例えば、上司に「この資料は分かりにくい」と怒られたとします。これを単に批判として受け取るのではなく、「資料の改善点について教えてもらっている」と解釈し直すのです。
怒られる前にできる準備
報連相(報告・連絡・相談)を徹底する
上司や同僚とのコミュニケーションを密に取ることで、予期せず怒られる事態を減らすことができます。特に、困っていることや不安なことは早めに相談するようにしましょう。
例えば、締め切りに間に合いそうにない場合は、「現在の進捗状況と今後の見通しについて報告します」と前置きしてから状況を説明し、アドバイスを求めるといいでしょう。
自分の得意・不得意を把握する
自分の強みと弱みを客観的に把握することで、怒られるリスクを軽減できます。苦手分野には事前対策を立てたり、周囲のサポートを求めたりしましょう。例えば、締め切り管理が苦手なら、カレンダーアプリを活用したり、同僚に進捗確認を依頼したりします。
ポジティブな自己対話を心がける
「どうせ怒られる」という否定的な考えは、実際に失敗を引き起こす可能性があります。「うまくいく方法を考えよう」「これは成長のチャンスだ」といったポジティブな自己対話を心がけましょう。
朝、鏡を見ながら「今日も一日頑張ろう!」と自分に声をかけるのも効果的です。
自己肯定感を高める習慣づけ
怒られることへの恐怖心は、しばしば自己肯定感の低さと関連しています。自己肯定感を高めることで、怒られても動揺しにくくなります。
小さな成功体験を積み重ねる
達成可能な小さな目標を立て、それを実行することで自信をつけていきましょう。例えば、「今日は5分早く起きる」「昼休みに10分散歩する」といった具合です。
達成したら、自分を褒めることを忘れずに。「よくがんばったね」「一歩前進だ」など、自分を認める言葉をかけましょう。
自分の長所リストを作る
自分の良いところ、得意なことをリストアップしてみましょう。「人の話を真剣に聞ける」「手先が器用」「料理が得意」など些細なことでも構いません。このリストは新しい長所を見つけたら追加していきます。
感謝日記をつける
その日あった良かったことや感謝したいことを3つ書き出す習慣をつけましょう。「今日も無事に仕事を終えられた」「同僚が親切にしてくれた」など、小さなことでも構いません。
日々の生活の中にある幸せに気づきやすくなり、前向きな気持ちが育ちます。
専門家に相談する
怒られることへの恐怖心が強く、日常生活に支障をきたしている場合は、一人で抱え込まず専門家のサポートを受けることをおすすめします。
カウンセリングを利用する
心理カウンセラーとの定期的な面談で、自分の感情や行動パターンを客観的に見つめ直すことができます。怒られることへの恐怖心の根本的な原因を探り、適切な対処法を見つけていくことができるでしょう。
認知行動療法を試してみる
認知行動療法は、ネガティブな思考パターンを認識し、より適応的な考え方に置き換えていく心理療法です。「怒られる=自分はダメな人間だ」といった思い込みを、「怒られる=改善点を教えてもらっている」といった建設的な考え方に変えていく手助けをしてくれます。
必要に応じて薬物療法を検討する
不安障害や抑うつ状態が強い場合は、精神科医の診断のもと、適切な薬物療法を受けることで症状の改善が期待できます。ただし、薬物療法は医師の指示のもとで慎重に行う必要があります。
また、最近では、オンラインでカウンセリングを受けられるサービスも増えています。
例えば、[ファストドクター] メンタルクリニックは診察からお薬の受け取りまですべて自宅で完結することができます。
自宅にいながら専門家に相談できるので、外出が難しい方にとっては特に有効な選択肢かもしれません。
怒られることへの恐怖心を完全になくすことは難しいかもしれません。しかし、これらの対処法を少しずつ実践していくことで、その気持ちと上手に付き合っていけるようになるはずです。自分のペースで、焦らずに取り組んでいきましょう。
4. おわりに
怒られることへの恐怖心は、あなたの繊細で真面目な性格の表れかもしれません。それは決して悪いことではありません。むしろ、そんなあなたの特性を活かして、周囲との良好な関係を築いていけるはずです。
一人で抱え込まず、信頼できる人に相談したり、必要に応じて専門家のサポートを受けたりしながら、自分らしく生きていく道を探っていってください。
怒られることへの恐怖心に縛られることなく、自分らしく輝ける未来が待っているはずです。その一歩を踏み出す勇気を、心から応援しています。